BRIAN ENO

時代の先駆者イーノの多才な活動をご紹介! 「アートは人々に何かをもたらすために存在しているのではないか」。
この問いにより、イーノの芸術は、革新的であると同時に人々に広く開かれている。 ヴィジュアル・アートのパイオニアとしてのみならず、アンビエントの創始者であり、 世界で最も多く聞かれたサウンドのひとつ Windows95 の起動音の制作したように、彼の活動は、 われわれの身近なカルチャーや生活にまで及ぶ。さらに彼は、世界的大プロデューサーであり、 環境問題をはじめとする社会活動にいち早く取り組んできたアクティヴィストでもある。
実際に社会に大きな影響を与え続けているそれらの多才な活動をみてみよう!

1. ヴィジュアル・アートのパイオニア

「私が夢見ていたのは、反復ではない、常に変化する音楽を作ることでした」by ブライアン・イーノ
アンビエント・ミュージックは、途絶えることなく変化し、雨や風のようにその環境の一部となる音楽で ある以上、イーノの芸術が空間を創出するインスタレーション・アートに向かったのは必然だった。音と 光が、反復ではなく、途絶えることなく変化する「ジェネレーティヴ・アート」(自動生成される音と光のアー ト)を実践したインスタレーションの代表作が『77 Million Paintings』。その名の通り、7700 万のペイ ンティングが自動生成される「ジェネレーティヴ・アート」である。

2. アンビエント・ミュージックの創始者

「アンビエント・ミュージック」とは、発想の転換であり、20 世紀の音楽文化におけるもっとも重要な革命のひとつ。1978年に発売したアルバム『アンビエント 1: ミュージック・フォー・エアポーツ』は、 「アンビエント・ミュージック」という言葉をもって作られた最初のアルバム。今なおアンビエント・ミュージック界の金字塔。通常音楽は、聞き手にその音楽をより集中して聞いてもらうことを望む。「アンビエント・ミュージック」は そのまったくの逆の価値を音楽に見出し、聞き手に聞くことを強制しないからこそ素晴らしいとする。音楽は聞き手に 向かってくるのではなく、人を包み込むように空間的に広がる。雨や風の音のように、環境の音それ自体が音楽となる ように作られる。

3. アクティヴィスト:環境問題をはじめとする社会活動

気候変動問題の解決を目的とした慈善団体「EarthPercent」を設立。本イベントも収益の一部を寄付。
よりよき社会を目指して早くから社会的活動を行ってきたイーノは、音楽産業に気候変動へのコミットを促し、収益の一部を寄付するよう音楽産業の関係者たちに働きかける慈善団体「EarthPercent」を立ち上げた。AMBIENT KYOTOもイベントの収益の一部を寄付する。“私たちには、気候変動の緊急事態を解決する力があります。私たちの未来は、健全な地球を維持できるかどうかにかかっています。しかし、私たちの行動は環境に深刻なダメージを与えています。私たちは、この地球と地域社会をきれいで健康な状態に保ち、次の世代のために繁栄させるために、今行動する必要があります。音楽業界の多くの人々は、気候危機に対して何かをしたいと思っていますが、その方法がわかりません。そのため、EarthPercent は科学者や専門家と協力して、最も有望な解決策を特定し、資金を提供しています。”ブライアン・イーノ(EarthPercent創設者)

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4. 歴史的大プロデューサー

デヴィッド・ボウイ、U2、コールドプレイと手掛けた作品が世界的大ヒット、そしていずれもが音楽史に名を残す名盤に。イーノは常に大衆文化との接点を大切にしつつ、そこに自分の芸術性を融合させることも忘れない。
イーノとコラボしたデヴィッド・ボウイの『ロウ』、『ヒーローズ』は、彼の代表作にしてロック史に燦然と輝く名盤。U2の代表作『ヨシュア・ トゥリー』は全米と全英で1位、グラミー賞受賞、U2のオリジナル・アルバムで最大の売り上げ枚数を誇る。コールドプレイの代表作『美しき生命』は全米と全英で1位、グラミー賞を受賞。今年スマッシュ・ヒットとなったデヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)の映画『アメリカン・ユートピア』、トーキング・ヘッズの全盛期のプロデューサーはイーノであり、この映画でもそれらの作品から多く演奏されている。

5. トリビア:Windows95の起動音の制作、小惑星「イーノ」

Microsoftからの依頼内容は「人を鼓舞し、世界中の人に愛され、明るく斬新で、感情を揺さぶられ、情熱をかきたてられるような曲」というもので、世界で最も知られたサウンドのひとつとして6秒の音楽サウンドを提供した。
 
イーノはアンビエント・アルバムの名作『アポロ』(1983年)を発売しているが、2019年には、新しく見つかった「81948(2000 OM69)」と呼ばれていた小惑星に彼のフル・ネームが刻まれた。小惑星の略称は「イーノ」。

プロフィール

ミュージシャン、プロデューサー、ヴィジュアル・アーティスト、アクティビスト。70年代初頭にイギリスのバンド、ロキシー・ミュージックの創設メンバーの一人として世界的に注目を集め、その後、一連のソロ作品や様々なコラボレーション作品を世に送り出している。プロデューサーとしては、トーキング・ヘッズ、ディーヴォ、U2、ローリー・アンダーソン、ジェイムス、ジェーン・ シベリー、コールドプレイなどのアルバムを手がけ、デヴィッド・ボウイ、ジョン・ハッセル、ハロルド・バッド、ジョン・ケイル、 デヴィッド・バーン、グレース・ジョーンズ、カール・ハイド、ジェイムス・ブレイク、そして実弟のロジャーとコラボレーションを行な っている。音楽活動と並行して、光や映像を使ったヴィジュアル・アートの創作活動を続け、世界中で展覧会やインスタレーションを行っ ている。ロジャー・イーノとは、初の兄弟デュオ・アルバム『ミキシング・カラーズ』(2020年) をリリースしている。これまでに40枚以上のアルバムをリリースし、ヴェネツィア・ビエンナーレ、サンクトペテルブルクのマーブル・パレス、北京の日壇公園、リオデジャネイロ のアルコス・ダ・ラパ、シドニー・オペラハウスなど、広範囲に渡ってアート・エキシビションを行なっている。長期に渡るスパンで文化的施設や機関の基盤となることを目的とする「Long Now Foundation」の創設メンバー、環境法慈善団体「ClientEarth」の評議員、人権慈善団体「Videre est Credere」の後援を務める。2021年4月には「EarthPercent」を立ち上げ、音楽業界から資金を集めて、気候変動の緊急事態に取り組む最も影響力のある環境慈善団体への寄付を行っている。
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